
The Priceline Groupはアメリカ合衆国・コネチカット州・ノーウォークに本拠地をおく宿泊予約分野で世界最大の販売数を誇るオンライン旅行会社(OTA)です。
Booking.com、priceline.com、agoda.com、KAYAK、OpenTableなど、ホテル、レストラン、航空券、レンタカーなどの予約サービスを展開する会社で1997年に米国で設立されました。
世界的に成長しているOTA市場。今回はその業界一の雄であるプライスライングループの中身を見てみましょう。
プライスライングループの歴史と展開
【沿革】
- 1997年 グループの親企業となるPriceline.comを設立
- 2004年 Activehotels.comを傘下に加え、海外事業進出本格化
- 2005年 オランダのOTAであるBooking.comを買収
- 2007年 東南アジアのOTAであるagodaを買収
- 2007年 欧州の取扱高が大きく伸びグループ総体でアメリカ国内の収益を逆転
- 2013年 メタサーチのKAYAKを買収
2004年9月、イギリスのオンライン旅行会社であったActivehotels.comを傘下に加えたことを契機に、海外事業への進出を本格化する。
特に2005年7月にオランダのOTAであるBookingsを買収し、2006年にBookingsがActivehotels.comを統合しブッキングドットコムとなったのちは、米国外での売上が大きく伸び、2007年には、グループ総体で米国内の売上を逆転するに至った。
2000年代当時、エクスペディアなど他の米国OTAの関心は、旅行者がOTAに料金を支払うマーチャント・モデルに集中しており、旅行者がホテル等に直接料金を支払うエージェンシー・モデルにはほとんど関心がなかったが、プライスラインは他OTAが注目していなかったエージェンシー・モデルにも着目し併用、大幅に売上を伸ばすことに成功、2011年に売上高で競合のエクスペディアを抜き、以降世界1位を維持している。
ブッキングドットコムに加えて、東南アジアのOTAであるアゴダを買収したプライスラインは、ホテル等の宿泊施設のオンライン予約における世界最大の企業グループへと変貌し、宿泊施設の販売室数(Room Nights)に関して、2010年以降、エクスペディア系列を上回り続けている(2016年通年で5億5660万室、エクスペディア系列は2億4600万室)。
一方インターネット・バブル期まで販売の中心であった航空券は、各国の航空会社によるコミッションカットへのシフトを受け、メタサーチのKAYAKへ大半を移行、この結果、予約取扱の多くは宿泊施設とレンタカーに集中することになった。
プライスライングループの展開サービス
Priceline.com Incorporated(プライスラインドットコム インコーポレイテッド)」の傘下に各子会社を持つ形態を取っていましたが、2014年4月、グループとしての商号をプライスライングループに改称、同傘下にプライスラインドットコムを含む各子会社を置く形態に変更しました。
M&Aを中心に企業体として成長してきたプライスライングループの6つの主要サービスを紹介していきます。
Booking.com
世界中で展開するオンラインのホテル予約サービス。登録宿泊施設は、高級ホテルチェーンから、旅館、個人経営のB&Bやアパートメント、ゲストハウス、バカンス向けの長期滞在施設、バケーションレンタルなどを30以上もの宿泊施設タイプをカバーしている。
2016年2月15日時点で、220以上の国や区域で、85万以上の物件を扱う。予約プラットフォームだけではなくマーケティングサービスやビジネスアナリティクスツールも「BookingSuite initiative」としてホテル側に提供している。
ブッキングドットコムのビジネスモデルは、決済を宿泊施設現地で行う方式(エージェンシーモデル)が用いられている。
Priceline.com
利用者側が航空券の予約の際に値段を決める「逆オークションモデル」をビジネスモデル特許として成立させ、同システムが全米のほとんどの航空会社に採用されたことを契機に知られるようになった。
ITバブル崩壊後は、航空券に加え、ホテル、レンタカー、またそれらを組み合わせたパッケージ商品やクルーズなど、対象商品を拡大、また、逆オークションモデル以外に普通のネットサービスを併用することで、不況を克服した。
航空券の逆オークションは2016年9月に廃止されたが[25]、ホテルやレンタカーの逆オークションは現在も行われている。
KAYAK
世界40カ国以上、約20の言語でKAYAKのウェブサイトを運営する。米国が最も大きい。
各ウェブサイトでは、航空会社やホテル・レンタカー会社の公式サイトおよび世界的に広く利用される予約サイトのほか、各地域内部で影響力を持つ予約サイトも、検索表示に含まれるように作られている。料金情報は各予約サイトの一般的な料金が対象であり、各サイトにおける会員限定割引などは対象外である。
フライトとホテルを組み合わせたダイナミックパッケージの検索機能も備えている。
Agoda.com
アジア太平洋地域を中心に提供するオンラインホテル予約サービス。シンガポールとバンコクに拠点を置く。
アゴダでは、クレジットカードによるアゴダへの前払いで、ホテルで宿泊料金の支払が不要なのに対し、ブッキングドットコムでは、予約保証のためにクレジットカード番号を通知するものの、決済自体は各宿泊ホテルでされる形式である。
このため、アゴダから検索を行い、実際にはブッキングドットコムでの契約となった場合、自動的にブッキングドットコムに予約情報が記録され、料金の請求はホテルが行うことになる。欧米では、アゴダ型のビジネスモデルはマーチャントモデル、ブッキングドットコム型のそれはエージェンシーモデルと呼ばれている。
Rentalcars.com
英国マンチェスターに本社をおく、オンラインのレンタカー予約サービス。世界4万6000の地域でサービスを提供。
ウェブサイトは、日本語を含む世界40以上の言語で表示され、決済は、日本円を含む世界55以上の通貨で可能。予約に関しては、ウェブサイト上で入力して行うほか、電話予約(日本語の場合は平日限定、フリーダイヤルも有り)も可能である。
変更や事故発生時などに関する注意事項の詳細は、ウェブサイト内の利用規約に明記されている。
OpenTable
2014年に買収したレストランの予約サービス。本社は米国サンフランシスコ。これは食べログと連携しているので、日本でも利用する機会が多い気がする。オープンテーブルの予約は、予約サイトとレストランのホームページから行うことができる。
利用者側は、OpenTableを通して、日時、料理ジャンル、価格帯、ならびに場所などをもとに、レストランや空席を検索することができる。利用者は、即時に確定した予約の確定メールを受け取る。オープンテーブルの登録会員となった場合、オープンテーブルで予約したレストランでの食事が完了した時点で、「OpenTableポイント」が付与される。
プライスライングループの業績
2001年の売上は11.7億ドルくらいで、その後2006年まで売上は成長していません。
しかし、2007年以降の成長はすさまじく。2016年には売上高107億ドル、営業利益29億ドルにまで成長しています。
すごいのは営業利益率の高さで、2009年以来は一貫して20%以上をキープしています。
売上の大半をBooking.comが占めており、まさに中核のサービスとなっています。
ちなみに、近いジャンルのネット企業であるExpediaは2015年度66億ドルの売上ということで、それよりも大きい。
収益成長のほとんどがオランダ(The Netherlands)となっています。
メイン事業に成長したBooking.comの本社がオランダにあるため、その収益が成長したということがわかります。
まだまだ成長するOTA市場において、プライスライングループも積極的なM&Aを展開し、より成長することが見込まれます。